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そう願っていた友の願いは。
ふたりの大人によって簡単に途切れた。
離婚。
世の中に溢れ変える、辞書に載っているだけの単語が。
そのとき初めて実感を伴った質量ある事象として俺たちの前に現れた。
そこにどれほどの苦悩が隠されていたとしても。
俺にとってあいつの両親は憎しみの対象でしかない程度に、俺たちはまだ幼く、それは唐突だった。
「なぁ」
「ん?」
くわえたアイス。
珍しく気前よく奢られたソレ。
「覚えとけよ?」
「何を?」
「俺が奢ってやったアイスの味」
「バカか」
笑う。
ふたりで笑う。
「次は俺に奢らせる魂胆か?」
「バカはお前だ。いいから覚えとけ。それだけでいいから」
「よくわかんねぇなぁ」
笑う。
過去の俺を哂う。
それっきり会えなくなった笑顔。
「俺ってうそつきなんだよね~」
「へ~例えば?」
「宿題好きで~弁当嫌いで~もうバリバリに大人で~エロ本なんて読まないし~」
「うわっ。うそつきだな」
他愛無い会話。
「ふ~ん」
「うちの両親もうすぐ離婚しそうで~痛いこと嫌いで~でも毒舌なお前は結構好き」
「あっそ。それはありがたくって涙を出してお礼を言いますよ。あ、アイス奢って」
「ちぇ。信じろ」
「うそつきなんだろ?」
「うそつきですよ?」
「すんませ~ん。これくださ~い」
他愛無い会話。
今は無い会話。
曖昧なままで変わらない関係があると思っていた。
はっきりしないから変わらないと思っていた。
それがあまりにも心地よすぎて。
僕は曖昧なこの関係を永遠のものだと勘違いしていた。
多分僕は幸せものだ。
食べて寝て。
一緒にいてくれる人や、笑える友人もいる。
困るほど持ってないし、困るほど持っていないこともない諸々のもの。
多分僕は幸せものだ。
何より自分がそれだけ幸せだと自覚できているから。