■ リサイクル03

私が居なくとも、世界は終わりませんが
私が居ないと、私の世界は終わります。

そんな簡単なことに気付いたのは
まさに死と向き合ったその時でした。

もっと早くに向き合えていれば何かが変わったのかと思うと同時に
きっと早くに向き合えていなかったからこそ私はこの人生を送ることができたのだと思うと
何故だか不意に涙が出て、止まらなくなりました。


貴方が笑っても、世界は何も変わりませんが
貴方が笑うと、私の世界は幸せになります。

それを告げるつもりはありません。
だってもうじき消えゆく世界の話ですから。

もっとたくさん貴方との未来をとそればかり望んでいました。
けれど貴方とたくさんの過去を過ごしてきたのだという事実に気付くことができて
何故だか今がとても幸せで、穏やかな気持ちです。


誰かが居る限り、世界は回って行きますが
誰も居なくとも、変わらず回り続けるでしょう。

何を以て世界を定義するのか。
それは人によって違うのでしょう。

形を変えて受け継がれ、緩やかに変化していくものを世界と呼ぶと同時に
ただそこにあるだけで、すべてを受け入れるそれを世界とも呼ぶという事実を
忘れがちですが思い出させてくれました。



いつか私が消える日まで
せめて貴方は笑っていてください。
いつか貴方が消える日には
望んでくれるなら私が貴方を迎えに行きます。

伝え損ねた愛と感謝の気持ちは
最期まできっと伝えることはないでしょう。
急にそんなことを言えば貴方が不審がるのが解っているから。


だけど今だけ。
ありがとう。大好きです。



リメイク039