■ どこまでも動けなくて

肥大する自我。
鋭敏になる自意識。

比例するよう強固になる自己防衛に。

僕は今日も身動きが取れなくなって立ち竦む。


いっそそういう生き物だと、見た目で判るようになればいいのにとすら望む。

■ 漏れる音

君だけが聞いているその音が、少しだけ漏れて僕の耳へも届けばいいのに。

■ 距離感の違い

君は不満だと全身で表すけれど。
会わないから君を嫌っているというわけではないんだ。

ただ、一緒に居ると近すぎて。
自分にしか理解できないだろう身勝手な不安や焦燥感を感じてしまう。

僕にとっては大切じゃないんだと君は哀しい声で呟いて。
君は僕から距離を少しだけ取ったけれど。

僕は君が大切で、少なからず君を傷つけて得た今のこの距離に。
僅かに安らいで、以前より心地いいと言ったら。

君はどんな表情を浮かべるのだろう。

■ 優しい人だと言うのなら

甘やかさないで触れないで。
温もりも優しさも知らないから。

どうすればいいか解らなくて、自己嫌悪に苛まれながらも自分からは手放せなくて。
嫌悪されて棄てられる未来は決定しているのだからそんなもの覚えたくない。

だから叶うならば空気のように扱ってください。
それなら為すべき態度が解る。

■ この感情の名を教えてください。

周囲だけでもそれこそ溢れかえる人がいて。

生活していけば欲望に切りがないけれど、能力に合わせればそれなりには納得していて。



だけど君にしか揺れない何かがあって。

でも君は気づかない。



片思いなんて綺麗な切ない言葉じゃなくて。

もっと酷く根元的で簡単で悪趣味な言葉が相応しいと思うのに、僕の頭じゃ解らないんだ。





この感情の名前を教えて。